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おはぎとぼたもちの違いは?季節で名前が変わる風情すぎる和菓子!

      2016/10/24

和菓子の代表格である「おはぎ」。
この「おはぎ」と同じように見える「ぼたもち」との違いはご存知でしょうか?
多くの方は一見では分からないと思います。
それもそのはず、現在の「おはぎ」と「ぼたもち」は基本的には同じもので、ただ呼び名が違うだけなのです。
でも、どうして呼び名が違うのでしょうか?
そこで今回は、
「おはぎ」と「ぼたもち」の違いについて、また後半では、その呼び方以外の別名を紹介していきます!

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おはぎとぼたもちの違い

おはぎとぼたもち
その昔、春のお彼岸に供えていたものを「ぼたもち」、秋のお彼岸に供えていたものを「おはぎ」と呼んでいました。
それぞれ、漢字で書くと「牡丹餅」、「お萩」となり、文字通り、春のお彼岸の頃に咲く「牡丹」、秋のお彼岸の頃に咲く「萩」の花の様子から名付けられたと言われています。

この名残りで、春に食べるものを「ぼたもち」、秋に食べるものを「おはぎ」と呼んでいます。

さて、「おはぎ」や「ぼたもち」は、萩や牡丹の花から名付けられたとのことですが、この両者を比べると大きさや形が違っていたり、餡(小豆)の粒の状態が違っていることがあります。
では早速、この違いについて見ていきましょう!

大きさや形による違い

おはぎとぼたもちには、作る時の大きさや形に違いがあります。「萩」と「牡丹」の花の様子を見るとその違いがよく分かります。
萩の花
萩の花は、小さくて細長い花なので、「おはぎ」は小さく長め(俵の形)に作ります。

牡丹の花
それに対して「ぼたもち」は、牡丹の花のように、大きく丸く作ります。
(補足)ぼた餅はもともと亥の子餅だったといわれています。

このように大きさや形によって、呼び分けることもあり、召し上がる時には、それぞれのお花を想像してみるのも情緒がありますね。

餡の状態で名前が違う

次に餡の状態(小豆の粒)に注目しましょう。
お年配の方は、おはぎは「粒あん」で、ぼたもちは「こしあん」と覚えている方も多いかと思います。
これには、あんの原料となる小豆の収穫時期が密接に関係しています。
小豆の収穫時期は秋になり、収穫したての小豆は皮が柔らかく、皮が付いた状態でも美味しく食べれることにより、秋のおはぎには「粒あん」を使い、一方、春のぼたもちは、年越しした「小豆」を使用することになり、乾燥して硬くなった皮が混じった餡では食感が悪いことから、「こしあん」を使ったと言われています。

このように、粒あんは「おはぎ」、こしあんは「ぼたもち」と餡の状態で呼び名を分けることもあります。
ただ今日では、良質の小豆を年中使用できるため、食感や舌触りを楽しむために「粒あん」や「こしあん」を呼び名に関係なく使い分けています。

その他の呼び分け方

おはぎやぼたもちは、食べる季節や大きさ、形、あんの状態で名前を分けていますが、その他にも使う材料などで呼び名を変える地域や販売店もあるので、ざっと見てみましょう。

あんの中身の材料

うるち米を使ったものを「おはぎ」
もち米を使ったものを「ぼたもち」

まぶすもの

きな粉をまぶしたものを「おはぎ」
小豆あんをまぶしたものを「ぼたもち」

中の餅の状態

米粒の状態が残ったものを「おはぎ」
お餅の状態になったものを「ぼたもち」

このように、色々な違いで呼び名が変わっており、さらに、ある小売店での呼び名が高度な販売網により一気に全国に広がることで、おはぎとぼたもちをハッキリ分けることが難しくなってきています。
※老舗の和菓子屋さんでは、昔ながらの伝統を守りつつ、本来の呼び名で作り分けているところもあります。

さて、春と秋で名前が違うおはぎ(ぼたもち)ですが、実は夏や冬にも名前があり、四季によって名前が変わってくる風情たっぷりの和菓子なのです。

季節で名前が変わるおはぎ(ぼたもち)

春と秋で名前が変わるおはぎ(ぼたもち)ですが、ちゃんと夏や冬にも、その季節にふさわしい名前が付いており、夏のおはぎを「夜船(よふね)」、冬のおはぎを「北窓(きたまど)」と呼んでいます。

その語源を見ていきます。
おはぎは、お餅と違って杵を使って餅つきをすることなく作れることから、
「搗き(つき)知らず」
と表現されていました。

この「搗き(つき)知らず」が語源になり、言葉遊びによって夏や冬にも名前が付けられたそうです。

夏のおはぎの名前は夜船

夜船はおはぎ
夏の夜、月明かりので照らされた静かな海をイメージして下さい。
そんな夜に舟が岸に着いても誰も気付かないですよね。
そこで、搗き(つき)知らずを「着き知らず」とモジり、
「夜船(よふね)」
と名付けました。

冬のおはぎの名前は北窓

冬の夜空、窓から眺める空には無数の星が輝いています。
しかし、北の空には月を見ることはできません。(※月は東から昇り西に沈むので北の空には見えない)
そこで「搗き(つき)知らず」を「月知らず」とモジリ、
「北窓(きたまど)」
と名付けました。

このように、季節によって名前を変えることから、おはぎ(ぼたもち)は、とても貴重な食べ物だったことが分かります。
そして、四季を感じることができる風情ある和菓子ですよね。

最後にひとこと

おはぎはお米と小豆で作られる和菓子ですが、小豆には「邪気を払う」といった意味が込められています。
最近、ツイてないな…と感じていたら「おはぎ」を食べて厄払いをしてみてはいかがでしょう!
それに「あんこ大好き」の方でしたら、パクついた瞬間に疲れた心を癒してくれ、元気が出ること間違いなし!!

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