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浴衣の左前と右前ってどういうこと?左前がダメな理由とは?

      2018/06/06

浴衣を着た時に、それ「左前だよ!」と指摘され、恥ずかしい思いをしたことはないでしょうか?
特に、温泉旅館で若い女性が浴衣を着ると「左前」になりがちです。
というのも女性の場合、普段着ている洋服と同じ感覚で浴衣を着ると自然と「左前」になってしまうからです。
和服に馴染みのない方は、この左前と右前をどっちがどっちと迷ったり、どうして左前がダメなの?と首をかしげたりするでしょう。
しかし和装の世界では、着物の合わせ方はとても重要なことです。
この機会に理解しておきましょう!

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浴衣の左前?右前?とは

浴衣の左前右前って
初めて浴衣を着付けるときに、お母さんやお友達に「着物は右前!」と教わったり、雑誌や動画で「右前」という言葉を何度も目にしていると思います。
着物に慣れている方は身体が覚えていて、そんなことは当たり前になっていますが、初心者の方は「ん?どっちが先だっけ?」と迷うことも多いと思います。
和服の合わせは「右前」になりますが、女性は普段の洋服が左前のために混乱しやすいのです。
(※洋服は男性が「右前」、女性が「左前」)
先に述べた通り、浴衣の合わせはとても大切なことなので、しっかり頭に入れましょうね!

浴衣は右前が正解!

浴衣は右前だよ!
浴衣に限らず「和服」はすべて「右前」。男女関係なく「右前」です。
合わせを右前にする着方ですが、
①右手で浴衣の右衿を持ち左脇に持っていく。
②その後、左手で左衿をかぶせるように巻きつける。

文章にすると分かりにくいですが、
右前の「前」とは「自分から見て手前になる」という意味で、自分の肌に触れる方が「右側の身ごろ」と考えて下さいね。

まだ不安という方に、すぐに覚えられる方法を紹介します。

これで忘れない!右前の覚え方!!

浴衣は「右」ということさえ覚えていれば、下記①~③のどれかを確認すれば、もう間違えることはないですよ!

右手を懐に入れることが出来る
②自分から見て右側に浴衣の端がきている
③自分を中心に、浴衣の巻き方が右回り(時計回り)

ここで、せっかくなので「右前」の豆知識も見てみましょう。

和服の右前はいつの時代から?

和服の合わせに関する歴史は、奈良時代まで逆のぼります。
今まで曖昧だった衣服のルールを「これからは右前にしましょう!」と決めたのです。
これが日本初の未婚女性天皇である「元正天皇」による「右衿の礼」です。
この命令により、全ての人が衣服を右前に着なければならないと定められました。
右前に定めた理由は、当時交流が深かった中国の唐において合わせは右前と決まっており、これを取り入れられたとされています。
奈良時代に決まったことが、ずっと守られていると思うと感慨深いものですね!

さて、和服が「右前」であることは理解できたかと思います。
でもどうして「左前」に着ると強い口調で指摘されたりするのでしょうか?

浴衣の左前がダメな理由とは

和服の合わせを「左前」にすることは「死人前(しにんまえ)」と呼ばれ、縁起が悪いとされています。
「死人前」というのは、亡くなった方が着る「死装束」の合わせが左前になっているところからきています。
亡くなった人と同じ着方をするのは、気持ち悪いというか怖いですよね。
このように左前は縁起が悪く、ご年配の方から強く指摘されるのは、「死後の世界に連れて行かれるわよ!」と、心配してのことなのです。
けっして「浴衣の着方も知らないの?」と馬鹿にしている訳ではありませんよ!(※そういう方もいるかもですが…。)

なぜ、亡くなった人は左前にするの?

和服ではご法度とされる「左前」。
日本では、人が亡くなった時に「逆さごと」という通常の逆のことを行う葬儀習慣がありますが、合わせの「左前」もその1つになります。

逆さごとは
葬儀のしきたりの中で、死は非日常的であるとの思いから、日常行われる作法と逆の事をとり行うことの総称です。
死の世界では、この世とは物事すべてが逆さまになっていると考えられていることや、いつもと逆のことをすることで、死の世界と生きている人の世界を区別し、今生きている人を守るために行うとされています。

ということで、
通常「右前」で着ているものを反対の「左前」で着せて送り出すのです。

余談ですが「逆さ水」も逆さごとの1つになります。
ある温度のお湯を作る時、通常は熱いお湯に水を入れて温度を調整していきますが、逆さ水では、水に熱いお湯を入れて温度を調整します。
故人を送ることを連想することから、縁起が悪いとされています。

最後にひとこと

浴衣を着た時には「右前」の確認方法を思い出して下さいね。
これで浴衣の合わせを間違うことはないと思います。
浴衣をファッションと捉えるだけでなく、日本の文化として守っていくこと、また次の世代に正しく伝えていくことは大切なことです。
もしお友達が「左前」になっていたら、愛情を持って指摘してあげて下さいね!
そして、浴衣でのお出掛けを大いに楽しんで下さい!!

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