京都五山送り火ってどんな行事?点火時間や観賞スポット、最寄り駅を解説!
2017/08/01
お盆の夜に行われる「五山送り火」。
静かな古都の夜に浮かび上がるオレンジ色の文字や形は情緒たっぷりで、いにしえより続く京の風物詩です。
全国のこういった火祭り行事のことを「大文字焼き」といい、その多くが「大」の文字だけですが、京都では大文字以外にも、船や鳥居の形も姿を現わします。
さらには御所を囲む山々を使うスケールの大きさから、アニメでいう魔法陣を連想することもあるのだとか。
そんな風情や古来の神秘を感じさせる京都「五山送り火」とは、どんな行事なのでしょうか?
また、年に一度の行事を楽しむためにも、点火時間や観賞スポット、最寄り駅なども押さえておきたいところ。
そこで今回は、
京都五山送り火についてドドーンと解説していきたいと思います!!
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五山送り火とは
五山送り火とは、毎年8月16日の夜、京都を囲む5つの山に「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の文字や形を炎で描く火祭り行事です。
全国的には、火を使い「大」の文字を描く行事のことを「大文字焼き」と呼んでいますが、京都では、「焼き」という表現は相応しくないことから「五山送り火」または「大文字送り火」と呼び、送り火の意味合いを大切にしている伝統行事になります。
しかし、その由来や起源などは、はっきり分かっていません。
諸説には、平安時代の空海が疫病を浄化するために始めたという説や、室町時代の足利義政が実の子の死を悲しみ、冥福を祈るために始めたという説があるのですが、これだけ大規模な行事でありながら、昔の文献にも記述が残されていないのは謎とされています。
では、五山送り火を行うことに、どういった意味があるのでしょうか?
まずは、「送り火」や「大の文字」について見ていきましょう。
送り火って何?
送り火とは、お盆に戻ってきた精霊(ご先祖さまの霊)を再び彼岸(あの世)へと送る仏教行事です。
(※関連記事⇒お盆の迎え火や送り火とは?お盆はめでたい行事って本当?)
ご家庭では玄関先でおがらを燃やし送り火をしていますが、地域行事として大々的に行ったものが、この五山送り火や川に灯篭(とうろう)を流す灯篭流し(精霊流し)になります。
五山送り火では、護摩木が点火材として燃やされており、この護摩木は各山のお寺で願い事を記し奉納することができます。
(※護摩木を焼き、その煙が天に届くと人は幸せになれるとされています)
ご先祖さまと共に天に昇る願い事を見送ることも、この行事の楽しみ方になります。
どうして「大」の文字を?
五山送り火と聞くと、頭に浮かぶのは大文字だと思います。
全国の大文字焼きでも「大」の文字が使われていますが、なぜ「大」の文字を描くのかは分かっておりません。
諸説としては、以下の3つの説が有名です。
①弘法大師(空海)が護摩壇を「大」の字に組んだため
②「大」の文字には、魔除けのシンボルである五芳星(ごぼうせい)の意味が込められているから
③北極星は神の化身とされ、この北極星(☆)から「大」の文字をかたどったため
また「大」の文字に関連した京都の古い風習があるのですが、男の子が生まれた場合、額に「大」の文字を書いてお宮参りをすると、元気な男の子になるとされています。
以上のことから「大」の文字には、悪いものから身を守り、無病息災を願う気持ちが込められているのではないでしょうか。
では次に、送り火を楽しむ方法について見ていきましょう!
五山送り火を楽しもう!
8月16日午後8時、東の空に「大文字」が浮かび上がると、五山送り火のスタートです。
すると、5分おきに「妙法」⇒「船形」⇒「左大文字」⇒「鳥居形」の順に火が灯り始め、ご先祖さまの霊が見送られます。
そんな送り火の見どころは、点火され、文字や形が暗闇に浮き上がっていく瞬間。
つぎつぎに火が灯り、文字が完成すると「おぉーっ!!」といった歓声と共に拍手が起こります。
そして、消えていく様は何とも言えない寂しさに。
このように送り火を堪能するには、キレイに見えるビュースポットに行きたいものです。
ということで、前半は、各送り火の観賞ポイントや最寄り駅などを、そして後半では、一歩踏み込んだ楽しみ方をご紹介していきたいと思います。
各山の点火時間や観賞スポット、最寄り駅など
送り火がキレイに見える定番スポットは、市内を東西に走る「丸太町通」より北側の鴨川や賀茂川、高野川にかかる橋の上または堤防沿いです。
出町橋から北山橋までは「大文字」や「妙法」が、北大路橋の東側からは「船形」がよく見えます。
同じ場所から、すべての送り火を見ることは出来ないのですが、「大文字」、「妙法」、「船形」、「左大文字」の4つを見ることが出来る場所として、船岡山公園が有名です。(※鳥居形が見える場所は限定されています)
あと、手軽に大文字を楽しみたい人は、今出川通の賀茂大橋周辺がおすすめ。抜群のアクセスで超有名スポットのため、人が多くなりますが眺めは最高です。
迷った時のイチ押しスポットになります。
では、もう少し具体的に見ていきましょう。
下図は五山送り火の位置関係と観賞スポットを表している地図です。この地図をもとに各山のビュースポットを説明していきます。
出典:京都新聞 みどころマップ
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/gozan/view/files/pdf/map.pdf
大文字の観賞スポット
【山名】大文字山(だいもんじやま)
【点火時間】20:00
【観賞スポット③】
・鴨川の橋の上または堤防西岸(賀茂大橋~北山大橋)周辺になり、特に賀茂大橋はおすすめです。京阪電車「出町柳」駅3番出口上がってすぐになります。
【最寄り駅】
・賀茂大橋へは京阪電車「出町柳」駅
・北山大橋へは市営地下鉄「北大路」駅
【備考】大の右ばらいの炎が途切れているのは、筆で書いた時のかすれを表現するために火床を置いていないそうです。
妙法の観賞スポット
【山名】妙:松ヶ崎西山(万灯籠山)、法:松ヶ崎東山(大黒天山)
【点火時間】20:05
【観賞スポット①】
「妙」は「松ヶ崎」駅北側の宝が池公園周辺、
「法」は同駅東側の北山通周辺がおすすめです。
(最寄り駅)市営地下鉄「松ヶ崎」駅
【観賞スポット②】
・高野川にかかる馬橋(うまはし)周辺は、北に「妙法」、南東に「大文字」が見えます。
(最寄り駅)比叡電鉄「一乗寺」駅
【備考】妙・法は、仏教宗派の一つである日蓮宗の「南無妙法蓮華経」から取られた文字です。
船形の観賞スポット
【山名】西賀茂船山(にしがもふねやま)
【点火時間】20:10
【観賞スポット③】
・鴨川の北大路橋や賀茂川の上賀茂橋の東側が船形のおすすめスポット。さらに上流の御薗橋辺りもキレイです。
(最寄り駅)市営地下鉄「北大路」駅
【観賞スポット④】
・船岡山周辺。特に船岡山公園は、同じ地点から鳥居形以外が見えるスポットして有名です。
(最寄り駅)市営地下鉄「北大路」駅から市バス利用
【備考】船形の由来には、円仁(えんにん)の船が唐からの帰路で嵐に合い、南無阿弥陀仏を唱えることで無事に帰ってこられたという話をもとに、船を型どったとされています。
左大文字の観賞スポット
【山名】大北山
【点火時間】20:15
【観賞スポット④】
・船岡山周辺。特に船岡山公園は同じ地点から鳥居形以外が見えるスポットして有名です。
(最寄り駅)市営地下鉄「北大路」駅から市バス利用
・西大路通(西院~金閣寺)周辺。金閣寺近くまで北上すると左大文字が大きく見えます。
(最寄り駅)阪急「西院」駅、京福電鉄「北野白梅町」駅
【備考】左大文字の大きさは大文字より少しコンパクトです。御所から見て左側にある文字のため、左大文字と言われています。
鳥居形の観賞スポット
【山名】(嵯峨鳥居本曼荼羅山)
【点火時間】20:20
【観賞スポット⑤】
・嵐山・広沢池周辺へのアクセスは悪いため、嵐山の渡月橋でも十分キレイに見えます。
(最寄り駅)渡月橋へは京福電鉄「嵐山」駅、阪急「嵐山」駅
【観賞スポット⑥】
・清凉寺北側周辺は、鳥居が間近に見えて迫力満点です。
(最寄り駅)JR「嵯峨嵐山」駅、京福電鉄「嵐山」駅
【備考】鳥居形には、弘法大師(空海)が石仏千体を刻んで開眼供養した際に点火したとの説があります。
五山送り火は、点火から約30分程で火が消えてしまいます。点火される瞬間を見たい場合は、点火時間を確認した上で、余裕を持って観賞スポットに行くようにしましょう。(※人気のスポットでは早い時間帯から場所取りもあります)
また雨天でも決行します。大気が不安定な場合は雨具の用意も忘れずに。
(※台風などの暴風雨の場合は順延の場合あり)
TV中継で観賞
当日は送り火のTV中継をしています。ご自宅でゆっくり観賞するもの良いですね。
【放送日時】:KBS京都 2017年8月16日 19:00~20:55 (予定)
五山送り火の楽しみ方
それぞれの送り火をただ観賞するだけでなく、一歩踏み込んだ楽しみ方があります。
楽しみ方は、送り火が行われる「前」、「観賞中」、「後」と3つに分れていて、どれを選んでもより深く伝統行事を体感できますよ!
送り火が始まる前
前述した通り、各山のお寺では護摩木にお願い事を記し奉納することができます。
その護摩木は、送り火の点火材として燃やされるので、点火時間が迫るとドキドキしてきますし、炎が上がると自分の願いが天に昇っていくような気持ちにもなります。
送り火を観賞中
お酒を入れた盃に、送り火(大文字の大)を映り込ませて飲むというもの。いわゆる「水鏡(みずかがみ)」です。
風情のある一杯は最高に美味しいですし、無病息災のご利益があると言われています。
ほろよい気分で一句詠んでみてはいかがでしょう。
ただ、小さな盃に映り込ませるのはかなり難しいです。お酒が飲めない人は、「お水」でもOKなのでトライして下さいね!
送り火が終わった後
送り火が終わった翌日、大文字山の火床に残った炭を拾いに行きます。
この炭を紙に包んで、身に付けると厄除けのお守りになり、家の軒先に吊るすと、魔除けになると言われています。
人気があるので早朝でも大きな炭はなくなっていることも。
行かれる際には軍手と割りばしを持参して下さいね!
以上、五山送り火について見てきました。
この行事は、京の風情を楽しむことができる大人な行事でもあります。
夏の終わりを感じつつ、「大」の文字に思いを馳せ、まったり過ごすのも良いかもしれませんね。
最後にひとこと
五山送り火と同じ16日に、嵐山の渡月橋(桂川の南岸)では灯籠流しが行われています。
オレンジ色の灯籠が、川をゆっくりと流れていく様子は、とても幻想的で時間が静かに流れているように感じます。
灯籠が1基1,000円で販売されていますので、機会があれば、ぜひ体験して下さいね!
そして北の空を見上げると「鳥居」の送り火が…。同じ送り火でも風情の異なる火を見られるのは、ここだけではないでしょうか。
ご先祖さまのご冥福を祈り、素敵なお盆の夜をお過ごし下さい。
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