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夏至の食べ物は豊作を願う縁起物!タコや小麦餅で暑い夏を迎えよう!

   

毎年6月21日頃に訪れる「夏至」。
北半球では、一年のうちで最も昼の時間が長くなる日です。
ただその時期といえば、梅雨のまっただ中。
「今日もまた雨かぁ」とテンションも下がり気味で、「夏至」には関心がわかないものです。
こんな時こそ、夏至ならではの行事食を食べて、「グイっ」と気持ちを上げていきたいもの!
とはいえ「夏至に何を食べるの?」とピンとこない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、
ジメっとした気持ちを吹き飛ばす夏至の食べ物について見ていきましょう!

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夏至の食べ物

夏至の食べ物
「夏至に食べるものは?」と聞かれても、多くの人は「ハテ?」と考えてしまいます。
それもそのはず。
季節の行事食をPOP広告で売り出すスーパーでさえ、「夏至には○○」といったセールスをしているところは少なく、世間的にはあまり知れ渡っていないからです。
しかし、ちゃんと夏至にも行事食といわれるものはあります。

なぜ、そんな影の薄い存在になってしまったのでしょうか?
実は、夏至の時期に行われる田植えが関係していたのです。

夏至の時期は田植えシーズン

古くから夏至の時期は、田植えのシーズンにあたり、農家の人たちはとても忙しくしていました。
昔の米作りは、今とは違い、1つ1つ手作業で行われ、すごく手間と時間がかかるお仕事だったのです。

特に、田植えの作業は大変で、広い田んぼに1本ずつ苗を植えなければならず、大勢の人手が必要でした。
それに加えて、夏至から11日後の「半夏生(はんげしょう)」までに、田植えが終わると豊作になるとされていたので、皆は朝早くから夕方遅くまで働き、疲れ切ってヘトヘトになっていました。
そんな状態では、「ハレのものを食べて夏至を祝おう!」という雰囲気にはなりにくいですよね。

このように、夏至が忙しい田植えのシーズンと重なり、きちんと夏至を祝えなかったことが、行事食として色濃く伝わらなかった理由だと言われています。

ただ、地域によっては風習として残り、今なお食べらているものがあります。
その食べ物には、「豊作を願う」思いが込められているのです。

夏至の食べ物で豊作を願う

農家の人たちは田植えが無事に終わると、そのことを祝い、そして豊作を祈願しました。
地元で取れる食べ物を、田の神様に供えて豊作を願い、田植えを手伝ってくれた人々には「感謝の気持ち」を込めて振舞ったのです。
こうした風習が夏至の食べ物として今日に残り、地域によって食べ物が違うのは、「地のものを使っていたため」だとされています。

中でも、代表的な夏至の食べ物は、
関西の「たこ」
関東の「小麦餅」です。

「タコと小麦?」と首をかしげてしまうかもしれませんが、その理由を見ていきましょう!

夏至の食べ物【タコ】

大阪のソウルフードといえば、「たこ焼き」ですよね。
関西地方では、このたこ焼きの具でもある「タコ」を夏至の時期に食べる風習が残っています。
昔からタコ漁が盛んな土地柄であり、瀬戸内海や兵庫県明石では、夏至の時期にマダコ漁の最盛期を迎えます
この時期のタコは身が引き締まって美味しいと、昔の農民には縁起の良い食べ物となっていたようです。
(※関西地方では、7月2日頃の半夏生にタコを食べる人が多いことから、7月2日は「タコの日」と制定されています。)
また、田植えが終わった農民たちは、そのタコの姿から「豊作」の願掛けをして食べていたとも言われています。

豊作祈願にタコ!
田植えで植えた稲が「タコの足のようにしっかりと八方に根を張り、豊作になりますように!」と祈願したそうです。

このように夏至の時期にタコ漁が盛んであったこと、縁起物であったことから、関西では「タコ」を食べる風習が残っています。
では、夏至に食べている主なタコ料理を紹介しましょう!

たこ飯

たこ飯
兵庫県明石市や瀬戸内海地方の郷土料理「たこ飯」。
土鍋で一気に炊きあげ、ふたを開けた瞬間のたこ独特の香りが胃袋を刺激します。
たこ身は、とても柔らかくジュワっと口いっぱいに広がる旨味は最高です!
そして、たこの旨味と風味が染み込んだご飯は何杯でもいけちゃいます。

たこの酢の物

たこの酢の物
お疲れ気味の体には、たこの酢のものをおすすめします。
コリコリした食感とさっぱりした味が箸休めにぴったりです。
お酢&タコで疲労回復し暑い夏を迎えましょう!

たこの唐揚

たこの唐揚
カリッと揚げた「たこの唐揚」。
揚げたてにレモンをキュッと絞れば、ビールにあてに最高の一品です!

では次に、関東地方の「小麦餅」を見ていきましょう。
「小麦餅」が食べられいる理由には、米作りの裏作が関係したようです。

夏至の食べ物【小麦餅】

その昔、関東地方では小麦の二毛作をしている農家が多くいました。
秋に種をまき、翌年の夏に収穫するサイクルだった小麦を、米作りの裏作として栽培していたのです。
ただ当時は、収穫した小麦を製粉にするには非常に手間がかかり、小麦の粉を使った食べ物はとても贅沢品でした。
特に農村部では、なかなか口にすることはできず、小麦の食品はハレの日に出される縁起物だったのです。
(※庶民が小麦で作った「うどん」や「天ぷら」、「饅頭」などを、気軽に食べるようになったのは江戸時代になってからだといわれています。)
その縁起物の1つが「小麦餅」。
田植えが終わった後には「小麦餅」を神様に供えて豊作を祈り、田植えを手伝ってくれた人たちに振舞って、田植えが無事に終わったことを祝いました
こうした風習が残り、関東地方では夏至に「小麦餅」が食べられています。

夏至の食べ物【その他の地域】

その他の地域でも、夏至の時期に食べているものがあります。
いくつか簡単に紹介すると、

いちじく田楽(愛知県)
田楽みそが有名な愛知県ですが、夏至には「いちじく」の上に田楽みそをトッピングした「いちじく田楽」を食べています。デザート感覚で意外に合うそうです。

焼き鯖(福井県大野市)
半夏生の日に焼き鯖を食べる習慣がある福井県。江戸時代の藩主が田植えで疲れた農民を見て、焼き鯖を食べて栄養をつけるように勧めたそうです。

水無月(京都府)
白いういろうの上に小豆を乗せた京都のオリジナルな和菓子で、6月30日に食べると元気に夏を迎えられると言われています。
詳しくは ⇒ 水無月は京都の和菓子!

半夏生餅(奈良県)
小麦ともち米を混ぜて作ったお餅にきな粉をまぶす「半夏生餅」。
田の神様に供えて豊作を祈願し、宴を開き田植えの無事を祝って食べていました。

半夏生うどん(香川県)
半夏生(7月2日頃)に「半夏生うどん」を食べる香川県。田植えを手伝ってくれた人たちに、その年に収穫された小麦で打ったうどんを振舞ったのが始まりだそうです。ちなみに、7月2日は「うどんの日」と制定されています。

ここで紹介した以外にも、その土地土地に伝わる夏至の食べ物があり、その地域ならではの風習は大事にしていきたいものですね!

最後にひとこと

夏至の行事食には、お米の豊作を願う意味があったのですね。
現代の米作りは、機械化によりずいぶん楽になりましたが、その一方で、機械の値段が高い、修理代や燃料代がかかるという金銭的なリスクを負うようになりました。
トラクターは約600万円、田植え機約300万円、コンバインはなんと900万円ほど。
この金額にびっくりです!昔と違う意味で大変なのですね!
とはいえ、どんなお仕事も「体」が資本。
今年の夏至には、お米に感謝しつつ、夏に向けて体力がつくものを食べたいと思います!

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